第27回研究会報告(2019.6.8)
2019年6月8日(土)、武蔵野大学において第27回研究会を開催しました。
研究会に先立ち、会員総会を開催し、2018年度事業報告と2019年度事業計画の説明が行われました。また、2018年度の会計報告が承認されました。
第27回研究会は、「東南アジアのビジネス日本語教育―これから何が求められるのか」というテーマで、東南アジア4か国(ラオス、カンボジア、タイ、インドネシア)の日本語教育の第一線で活躍中の先生方をパネリストに迎え、各国のビジネス日本語教育の現状についてお話を伺いました。
パネリスト:
スニーラット・ニャンジャローンスック先生(タマサート大学)
ディアンニ・ルスダ先生(インドネシア教育大学)
ロイ・レスミー先生(王立プノンペン大学)
サヤコン・マライカム先生(ラオス国立大学)
進行:堀井惠子(ビジネス日本語研究会幹事、武蔵野大学)
初めに、進行の堀井惠子氏より、趣旨説明が行われました。少子高齢化時代を迎え入国管理法が改正され、多文化共生の必要性が高まっている今、ビジネス日本語教育に何が求められているのかを各国のパネリストと一緒に考えるというのが、今回の趣旨です。
続いて4名のパネリストの自己紹介と国の紹介に続き、ビジネス日本語教育の現状と課題についての発表がありました。課題としては、学習時間の不足、指導者の不足、カリキュラムと学習者のニーズのギャップ、企業との連携の必要性等が挙げられました。詳細は、以下のPPTをご参照ください。
PPT (PDFファイル)
質疑応答では、日本語学習者はいつから日本語を学び始めるのかといった各国の日本語教育事情に関する質問から、ビジネス経験のない人を研修でビジネス日本語の教師に育成することができると考えるかといったビジネス日本語教育が抱える課題の解決方法など、多岐にわたる質問について、意見交換が行われました。
今回のパネルセッションでは、日本国内では、なかなか聞くことができない東南アジアの日本語教育の現場のお話を聞くことができました。印象的だったのが、パネリストの先生方の大学の卒業生の日系企業への就職率の高さ(80~90%)です。現在、パネリストの先生方は共同研究も実施していらっしゃるということで、今後、国際連携、企業との連携、卒業生との連携と、さまざまな関係者が連携し、ビジネス日本語教育が進められていくであろうと感じました。
質疑応答の後に、交流タイムも設け、盛会のうちに終了いたしました。今回は、約40名の方にご参加いただきました。「各国の大学のビジネス日本語教育の現状を知ることができた。」「企業との連携の必要性を感じた」といった感想が寄せられました。次回は、7/6(土)に、「アクティブラーニングによるビジネス日本語教育」(仮題)を開催の予定です。こちらも、どうぞご参加ください。
(報告:村上佳恵)
シンポジウムで言及のあった先行研究は、下記のとおりです。
堀井惠子(2018)「東南アジアの高等教育機関におけるビジネス日本語教育の現状と課題-カンボジア、インドネシア、ベトナム、マレーシアの調査から―」『Global Studies』、Vol.2,pp.13-26武蔵野大学グローバルスタディ研究所
堀井惠子(2018)「東南アジアの高等教育における日本語学習者のビジネス日本語教育の教材開発のための調査研究―タイ、ラオス、インドネシア、カンボジアの大学とー」しあわせ研究所紀要第1号
堀井惠子・Loch Leaksmy・Neancharoensuk Suneerat・Malaykham Sayakone・Dianni Risda他(2019)「多文化就労場面における日本人上司・同僚との関係―日系企業に就職した東南アジアの大学の卒業生への質問紙調査から―」しあわせ研究所紀要第2号